石の裏のダンゴムシ

みんなの安全基地。生きづらさを感じている人のための居場所です。

私の生きづらさ ― powerさん②

 

こんにちは、つっきーです。 

先週は8月会のお知らせでしたが、今週は先々週に引き続きダンゴムシ参加者のpowerさんの生きづらさについて、powerさんご自身に書いていただいたものをご紹介したいと思います。ちなみに、同様のものを別の参加者の方にすでに書いていただきました。そちらは来月16日の更新時にUPする予定です。お楽しみに。

ではでは、「私の生きづらさ」powerさん編の続きです。

 

 

――――― 以下、powerさんからの寄稿です ―――――

 

休学そしてカウンセリング

面接怖さに就職活動を放棄したが、このまま卒業するのはまずいと思って、とりあえず1年間休学しようと考えた。もしかしたらこの1年で自分のやりたいことが見つかるかもしれないという淡い希望もあった。休学の申請はあっさりと受理され、晴れて授業にもいかなくてもいいし就職活動もしなくてもいい日々が始まった。

最初は資格や語学の勉強などをいっぱいやろうと意気込んでいたが、何も強制される予定がなく自由な環境では、意志薄弱な自分には勉強などできるはずもなかった。すぐにダラダラとした昼夜逆転の堕落した日々が始まった。結局ひたすらバイトにいっては、家に帰ってダラダラするという日々が1年続いた。あっという間に1年はたち、復学する時が来てしまった。今思えば嫌なことから逃げてただ堕落したひどい1年だったと思う。まぁしかし就職前にモラトリアムをもらって1年とにかく自由に好きなことやったし十分休んだのだからこれから就職活動に専念しようとその時は思っていた。

しかし相変わらず就職に対するイメージは湧いてこないし、意欲もまったくない。むしろ去年よりも悪化しているように思えた。休学したこともあって自分の数少ない友人たちもすでに就職が決まって卒業して各々の進路に進んでいった。復学した時には、学内には友達はひとりもいなくなった。毎日ひとことも言葉を発しないまま学校をただひたすら往復するという日々が続いた。やはり何日も人と会話をかわさないと社会性が一気に落ちて気分が鬱々としてくる。そして就職活動をしなくてはいけないというストレスも合わさって、うつ病の一歩手前のような状態になってしまった。

このままではひきこもりになって退学してしまうかもしれないと危機感を抱いて、学校にあるカウンセラーのいる学生相談所というところに駆け込んだ。駆け込んだといっても自分は人にその相談所に入っていくのを見られるのが嫌でその相談所の建物のまわりを6周ほどぐるぐる回ってやっと決心して中に入った。最初の面談で自分の大まかな悩みを話し、その後一人のカウンセラーが担当につき、週に一回カウンセリングに通うことになった。カウンセラーの人に自分が昔からどうせ死んでしまうという意識が常にあって虚しい、面接が怖くて就職活動に参加できないといったことなどを話した。

回を重ねていくうちに自分の親との関係なども話すようになってきた。そしてある日『アダルトチルドレン』という言葉に出会った。アダルトチルドレンとは簡単にいうと機能不全家庭で育ったことにより、成人してもなお内心的なトラウマを持つ人のことを指すのだが、この言葉に出会ったときこれだと思った。いろいろ本などでアダルトチルドレンの特徴をみてみるとまさに自分のことが書いてあるではないか。自分のこの辛さや違和感は自分のせいではなく親の養育環境によるものだったんだと合点がいった。この言葉に出会ったときは自分の苦しみが言葉として理解できて世界が一瞬晴れたように感じた。

しかし気づいてしまう。自分が仮にアダルトチルドレンだったとしてそれが就職活動をしない理由にはならない。それが人生から逃げる理由にはならないということに。薄々このことには気づいていたのだが、やはり自分の社会に飛び込む勇気がないということを直視するのが怖くて、この他にもADHD発達障害回避性人格障害スチューデントアパシー神経症、対人恐怖症、HSPなどなどさまざまな診断や概念を持ち出しては、自分が社会にうまく溶け込めないのは病気のせいで、その病気にしたのは親のせいなんだと思うことで自分を正当化し続けていた。しかしどんな病気や概念を持ち出そうが、過去は変えられず、自分の人生からは逃げられないという壁にぶちあたってしまう。結局自分が傷つきたくない、人生にたちむかう勇気がないというのがカウンセリングを重ねるうちにわかっていくのだった。

そしてあっという間に1年が経ち、もうこれ以上大学にはいられなくなり卒業することになってしまった。自分は精神の状態がよろしくないのだから就職活動をしなくてもよいと自分を正当化するためにカウンセリングに通っていたのではないかと卒業間際に気づいてしまった。カウンセリングというのは悩みを打ち明けて共有することで悩みに立ち向かっていくものであるはずなのに、自分は言い訳を作るためにカウンセリングにかよっていたんだと思うとあまりの自分のクズさにさらに自己嫌悪を感じた。


フリーターそして就職

結局1度も面接を受けることなく大学を卒業して晴れてフリーターになった。最初は人生のレールから外れてしまった絶望よりも、とにかくこれであの忌々しい就職活動から離れることができるというのがうれしかった。フリーターは自分の好きなことをやる時間もたっぷりあるし、世間のサラリーマンのようにあくせく働かなくてもいい。そしてなんといっても朝目覚ましに起こされなくて済む。最初はわりとフリーターというものに対して世間でいわれるほど悲観的に捉えておらず、むしろ楽観的に考えていた。

しかしフリーターになる前の想像となった後の実際とでは大きく違った。時間はたっぷりあるのに何もする気力がわかない。ただなにも考えなくてもいアニメや映画などをひたすらダラダラと見ていた。そもそも自分の人生を賭けてまでやりたいことなんてなかったということにフリーターになって気づく。毎日コンビニのレジをうっていやいやと働く日々。このバイトを続けても一向になにかのスキルが付くわけでもないし、なにか夢を追い求めてそのためにバイトをしているわけでもない。ただただ現状維持という惰性でバイトをしていた。

次第に自分は一体こんなところでなにをやっているのだろうとか、将来はどうなてしまうのだろうかという漠然とした不安が迫ってくるようになってきた。家にいてもそわそわしてなにも手に付かない。バイト中は忙しいのでとにかくその間は生きづらさや将来のことは考えなくて済む。だんだんと不安から逃れるように、空いた時間をすべてバイトで埋めるようになってきた。こうしてひたすらバイトしては家に帰って眠るという日々が続いた。

フリーター生活を1年ほど続けたある日、ふと就職活動をまたやってみるかと思った。たぶんフリーター生活に飽きもあったし、なにより不安に耐えられなかったのだと思う。とりあえず既卒の就職をサポートしている対面で相談を受けられるところに行った。最初に面談で自分のことについてやどういう仕事につきたいかを話すのだが、そこで自分はいかに働きたくないかを語っていた。就職を斡旋する場所で働きたくないということを語るのは自分でもどうかしていたと思う。相手は若干困っていたがそれでも自分のいうことを親身になって耳を傾けてくれた。

それから数回通ううちに、とりあえず一社面接をうけてみないかということになり、なりゆきで面接を受けることになってしまった。先方とも約束を取り付けてしまってもう逃げられない所まで来てしまった。いつもならここでバックレて音信不通になるのだが、今回はちょっと受けてみるかという気持ちがあった。正直全く興味もない会社だし、志望動機もめちゃくちゃだがとりあえず面接を受けることで思い込みや恐怖をなくしていこうと思った。

面接の前日は心臓がバクバクで眠れなかった。一応志望動機などを書いたメモをみて覚えようとするが、全く頭にはいっていかない。結局朝が来てしまって、半ばやけくそになりながら面接会場へ向かう。会場について部屋に呼ばれるのを待つ時間が非常に辛かった。寝ていないのと緊張で吐きそうだった。やっと部屋に呼ばれて面接が始まる。志望理由や自己PRなどの想像していた範囲の質問をされ、わりとあっさりと終わってしまった。終わってしまうと面接ってこんなもんかと呆気にとられてしまった。自分はこんな面接というもののために新卒というカードを捨ててレールから降りてしまったのかと思うと激しく後悔したし馬鹿らしく思えてきた。とりあえず初めて面接をうけることができて、面接に対する得体の知れない恐怖は少しはなくなった。

一番初めに受けた企業は落ちたが、そのまま勢いで2社目を受けたら、あっけなく受かってしまった。正直まったく興味もない業界で、家からも遠い。昇給のみこみもないし、将来この仕事でどう自分の生活を築いていくかといった見通しもまったくない。でもとりあえずやってみないと自分がなにをしたいかもわからないし、ダメそうだったらまたあのフリーター時代に戻るだけだと思って就職することに決めた。なによりもこれでやっと世間(主に親からの)の冷たい目から開放されると思ったし、こんなクズな自分を受け入れて採用してくれたのがうれしかったというのもあった。こうして晴れてフリーターから正社員へとなっていった。

 

――――― 次週「正社員」に続きます ―――――

 

 

お知らせ

8月27日(日)開催のダンゴムシの会、参加希望を受け付けております。参加希望の方は以下をご確認の上、参加希望フォームよりご連絡ください。

dango64.hateblo.jp

 

 

以上、つっきーでした。
それでは次回更新をお楽しみに。

 

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